このブログは、生活保護の申請受給が自分でできるよう、わかりやすく解説したものです。
 今回は、親族への扶養照会と生活保護の申請について見ていきましょう。

 1、生活保護の申請に行っても、扶養義務のある親族がいる場合、窓口で「両親に扶養してもらいなさい」とか「親族と相談してください」などと言われて、申請を受け付けないという対応がよく見られます。
たしかに法律では、生活保護は、民法に定める扶養義務の履行を保護より優先させる、と定めています。

 
 しかし、本人の生活保護を申請する意思が明らかである以上、これを受け付けないという対応は、保護の申請権の侵害であり、違法な対応といえます。扶養義務者による扶養は、生活保護をするための前提条件ではないのですから。

 厚生労働省保護課長問答でも、「扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取すること自体は申請権の侵害に当たるものではないが、『扶養義務者と相談してからでないと申請を受け付けない』などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある。また、相談者に対し扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、保護の申請を諦めさせるようなことがあれば、これも申請権の侵害に当たるおそれがあるので留意されたい」と指導しています。

 扶養については、現実に扶養義務者(親・兄弟など)による扶養として仕送りなどが行われた場合に、その時点で、仕送り金額を「収入」として認定するという意味であり、福祉事務所に扶養の履行を要請する権限はないのです。そして、その際、仕送り金額が最低生活費を上回れば保護は廃止されるということです。

 福祉事務所として正しい対応の在り方は、扶養義務者の有無にかかわらず、まず本人の保護申請の受け付けを行なうべきです。その後、保護の決定にあたって必要があるときに、扶養義務者について調査するということです。


 2、 扶養の調査(扶養照会)について

 ⑴ 実際の扶養義務者の調査は、原則として、配偶者、直系血族(親子、祖父母、孫など)や兄弟姉妹に対して行われます。

 ⑵ 三親等内の親族(おじ、おば、甥、姪など)に対しては、要保護者本人の申告によって、
①現に扶養をおこなっている者、
②扶養義務ができると期待される特別の事情があり、かつ扶養できる能力があると推測される者だけが、その調査の対象になります。

 ⑶ これらの扶養義務の調査は、原則的に要保護者からの申告によって行われ、福祉事務所が要保護者から、扶養義務者の氏名、生年月日、住所、職業、収入などについて確認します。さらに必要があるときは、戸籍謄本などによって確認します。 

 ここで注意すべきことは、この「扶養照会」は、扶養する意思があるかどうか、扶養できるかどうか、できるならどの程度の扶養ができるか、などを確認するものにすぎず、扶養義務の履行を要請するものではありません

 ⑷ 次のような者については、扶養義務の履行が期待できない者」として、直接照会する必要がないとされています。

・夫の暴力(DV)から逃れてきた母子など(夫が保護の申請者で妻に扶養義務がある場合)
・所得税非課税者(無収入の主婦など)
・子に扶養されている老親など
・未成年者
・家を出て10年以上音信不通の者など
・また、保護の「申請者」が夫の暴力(DV)から逃れてきた母子であるような場合には、夫に扶養能力調査をすることは適当でないとされています(厚生労働省の見解 )。

 ⑸ 現在、福祉事務所は、扶養義務者に対しては通知したり報告を徴収できるようになっています。しかし、この通知や報告徴収の対象となるのは、明らかに扶養ができると思われるにもかかわらず、扶養を履行していない場合に限られているのです。

 なお、扶養義務者の有無について、福祉事務所から直接照会することが適当でない事情があるときは、その事情を説明して、直接照会しないよう、自分の希望を申し入れるとよいでしょう。

 以上、親族への扶養照会について見てきましたが、生活保護の申請にあたっては、扶養照会は保護を受けるための必要条件ではないので、あまり気にする必要はないでしょう。
 先日、菅首相も、扶養照会について「より弾力的に運用できるように厚労省で検討している」と述べています。






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